スイーツ家族の苦悩
自己紹介
僕は、GOTOの技術部購買担当をしている「H」です。
①社内の購入品管理(各部署から発注書受け取り⇒複数業者への見積依頼⇒発注⇒受入れ⇒部署へ納入)
②設備保全・修理時に業者の手配や段取り
③外注先管理(見積・発注・打ち合わせ・受け取り・外注先評価)
④得意先管理(営業・受注・打ち合わせ・納品・得意先評価)
⑤自社製の治具・検具等の製図作業
⑥取引先への完成品の納品(車で納品に行く)
上記6つが主な仕事で、日々忙しく仕事をしている。
社長からのお願い
ある日、社長と雑談をしている時、自分の家族の話になった。
H… 息子は○○へ勤めていてサラリーマンをしています。
娘は「パテシエ」をしています。
社長…娘さんはどんな物作ってるの?
H… 写真を見せた。
社長…すごいこれならなんでもつくれるな~。
今度、機会があったらクッキー、作ってもらえる?
H… はい。
僕はこの後に『大変な事になる』事を知らずに安請け合いをしてしまった。
今から思えばこの時の何気ない会話が僕の人生の分岐点だったのかもしれない…
その日は突然訪れた。
社長…H君【ツチノコクッキー】を作れませんか?
出来ればオリジナルデザインで、
味は【○○サブレ】ぽい感じで、
行く行くは、商品化を考えています。
家族会議
これは困った⁉
まずは家に帰って、家族会議だ!
H… 家族全員に向けて「社長から【ツチノコクッキー】を作れませんか?」って言われた。
嫁… あなたの大恩人、今のあなたが有るのも、全て社長さんのおかげ、
私はやるべきだと思うわ。
娘… クッキー位なら作って見せるわ。
息子…俺、デザイン画書くよ。
なぜか、我が家の家族は全員ヤル気満々だ?
デザイン案
まずは、僕(H)がツチノコデザインを書いて見本を見せた。
嫁… いも虫?
娘… 気持ち悪…い。
息子…いれは無いわ~
ひどい言われようである💢
息子…俺、書くわ。
我が息子は自慢では無いが絵がとても上手い。
実家が、小売店を営んでいたのだが、そのシャッター一面に
イラストを書いて、近所の小学生から大評判になった程の腕前だ!
息子がスイスイっと、ツチノコの絵を完成させた。
デザイン決定
早速、社長に見てもらった。
社長…ここはもうちょっと○○な感じで、こっちは△△にして…。
社長の頭の中にある「確固たるイメージ」は1ミリのズレも許さぬ様だ。
僕は家に持ち帰り又、家族会議を開くのであった。
H… 社長にここはもうちょっと…。って言われた。
嫁… 良く聞いて帰ってよ!
娘… 父さんいつもの、聞いたつもりだったんよね~
息子…父さんならしようがないか。もう一度考えるよ。
ひどい言われようである💢
それから社長と、やり取りを2,3回繰り返してようやくデザインが完成したのだった。
息子よ!ありがとう‼
クッキー試作
ここからは娘パテシエの出番だ。
①プレーンクッキー
②チョコレートクッキー
③ココアクッキー
④アーモンドクッキー
4つの味の試作品が出来た。
社長に味見をしてもらった。
社長…ここはもうちょっと○○な感じで、こっちは△△にして…。
社長の頭の中にある「確固たる味」は1粒の味覚の違いも許さぬ様だ。
僕は家に持ち帰り又、家族会議を開くのであった。
H… 社長にここはもうちょっと…。って言われた。
嫁… ちゃんと聞いたの?
息子…父さんいつもの、聞いたつもりだったんよね~
娘… 父さんならしようがないか。もう一度考えるよ。
ひどい言われようである💢
この後、社長との味のやり取りが続いた。
クッキー味の模索
H… 今度は良く聞いたよー。
味は【○○サブレ】ぽい感じ。
そう言われて、【○○サブレ】を山ほどもらって来て、クッキー作りを開始した。
僕(H)の意見で、
①砂糖少なめ・ベーキングパウダー入り
②砂糖多め・ベーキングパウダー入り
③ハチミツ・ベーキングパウダー入り
④砂糖多め・ベーキングパウダー無し
⑤ハチミツ・ベーキングパウダー無し
5種類作ってもらった。
味覚には大きく分けて2つの感覚があると思う。
それは「味」と「触感」だ。
ABC3段階で味覚調査をした。
味A・触感Aが合格ラインとした。
①味B・触感B
②味C・触感B
③味A・触感C
④味C・触感C
⑤味B・触感C
これは難しい!!!!!!!!
クッキーの味決定
社長に試作した5種類のクッキーを味見してもらった。
社長…③が一番近いかな?もうちょっとサクサク感が欲しいし、甘味が欲しいかな。
”社長は味に妥協なき男である”
もう一度やり直しだ~
僕は家に持ち帰り又、家族会議を開くのであった。
H… ③が一番近いかな?…。って言われた。
嫁… もうちょっとね。
娘… 味探し、追究だね!
息子…うん、がんばろ~
ひどい言われようじゃない⁈
がんばろ~!!
試行錯誤は夜通し続いた。
改良品が出来上がり家族の評価は
味A・触感A 満足の出来だ!!
クッキー完成
完成したレシピで、クッキー型に生地を流し込み、形成した生地をクッキングシートに並べ、
オーブンを予熱して、生地を入れ、スイッチON!
味はもちろん、見栄えも良く出来ていて、満点の出来上がりだ。
冷ましたクッキーを袋詰めし、リボンで結んで【ツチノコクッキー】製品化が出来た。
社長に受注した数量の【ツチノコクッキー】を納品し、納得してもらった。
追加注文
【ツチノコクッキー】を納品し終り、数カ月が経過した。
僕はすっかりクッキー作りの事は忘れて仕事を忙しくこなしていた。
ある日、
社長…H君【ツチノコクッキー】来週の月曜日までに、○○○枚出来る?
H… は、はい。何とかします。
社長…間に合わなかったらムリせずにね。
H… 大丈夫です。
僕は、社長に大見栄を張った。
この時は家族がいるし何とかなると思っていた。
家族への期待
家に帰り、家族みんなに
H… 社長から【ツチノコクッキー】来週の月曜日までに、○○○枚注文が入ったよ。
嫁… そんなにたくさん月曜までに出来る?
息子…週末、俺友達と出かけるよ。
娘… 型もレシピもあるから、父さん作れるよね。
家の中では【ツチノコクッキー】ブームはすでに終っていた。
僕(H)は今まで家族に頼ってクッキー作りに参加していた。
はたして1人で【ツチノコクッキー】は出来るのか。
ほぼ一人クッキー作り
週末に向けて、クッキーの材料をそろえていく。
1.娘に材料(薄力粉・バター・砂糖等)を大量に仕入れてもらう。…やさしい。助かった。
2.土曜日、嫁に台所をかりた。機材(クッキー型・ボール・かき混ぜ器・ふるい等)が用意してあった。…さすが。愛妻。
3.レシピ通りに生地を作り、型に流し込み、クッキングシートへ…。
おかしい?上手く出来ない?
生地を型から外したら、形が崩れる・割れる・へこむ。…心もへこむ。
3.Re.もう一度生地作りを始めた。スイーツは化学だ。少しの分量の違い、混ぜ方、時間、全てレシピ通りに行った。
生地を型から外したら、
今度は上手くいった。…嫁にちょっと手伝ってもらった。
4.オーブン予熱。生地をオーブンに入れ、スイッチON。
上手く焼けた!!
5.クッキーを冷ましている間に、3.4.の繰り返し。そして袋詰め。…袋詰めは娘が手伝ってくれた。うれしい。
一応、全ての工程を1人でやり遂げた。…ちょっと、、、大分、手伝ってもらった。
土日を掛けて納品分は出来た。…家族に感謝。
新しいスキル獲得

【ツチノコクッキー】
完成の最初から最後までの工程を1人で出来る様になった。
社長にも感謝され、家族のやさしさも知れた。
人生死ぬまで勉強。人には感謝。身に染みた。